ラバーダムについて

ラバーダム(ラバーダム防湿、rubber dam isolation)とは、唾液や細菌が歯に付着しないように、治療予定の歯及びその周辺を口の中から隔離することです。この操作を行うことによって根管治療や接着修復治療において様々なメリットが得られます。

根管治療における一番のメリットは感染予防です。根管治療の目的は歯の中の感染源をきれいにすることなので、治療中に唾液が入らない環境を確保するためにラバーダムが役立ちます。治療中に唾液が入らないことが前提としてなりたたなければ、最新の器具器材を使用したとしても効果を十分発揮できなくなってしまいます。

一方、接着修復治療における一番のメリットは防湿です。現在の歯科治療において、コンポジットレジンを用いたダイレクトボンディングやプラーク付着の少ないセラミックを用いる機会が増えています。歯にそれらの材料を接着させようとする場合、周辺の水分の影響を強く受けることがわかっています。ラバーダムを適切に行い唾液や呼気中の水分をコントロールすることにより接着システム本来の性能を最大限引き出すことができます。その結果として修復物の長期耐久性が向上します。

ラバーダムには他にも様々なメリットがありますが、個々の症例において適切に使用するためには技術的ハードルをクリアするためのトレーニングが必要で、残念ながらすべての歯科医師がうまくできるわけではありません。さらに、保険治療には算定項目がなく使用に関しては歯科医師の裁量次第となっています。このような背景から、ラバーダムを用いた処置は広く普及していないのが現状です。当院では質の高い根管治療や接着修復治療を提供すべく、ラバーダムの使用を積極的に行っています。