有病者歯科治療

有病者歯科治療は、基礎疾患をお持ちの方の歯科治療を指します。

かかりつけ医で投薬治療を受けている方、大きな病院で手術をしたり、化学療法(抗癌剤)や放射線治療を受けられている方など、一般の街の歯科医院で歯の治療が受けられないのではないかと思われている方はいらっしゃいませんか。

これらの多くは、正しい知識をもって医師と連携を行えば一般の歯科医院でも安全に歯科治療を受けることができます。医学部附属病院の歯科外来での勤務、医科麻酔科研修の経験から、より安全に治療を受けていただけるようサポートいたします。当院は生体監視モニターを完備しております。疾患に応じて装着し処置中の患者さんの状態を把握することができます。

 

①循環器疾患の方

高血圧症、さまざまな種類の不整脈をはじめとした心疾患をお持ちの方の治療には、生体監視モニターでの状態把握、内服薬の確認、現在の体の状態を確認するための医師との連携が不可欠です。特に抗凝固薬、抗血小板薬といった、いわゆる「血液をさらさらにする薬」を内服されている方は多く、疾患や薬剤の高度な知識と経験が必要です。以前はこのような抗血栓薬は抜歯前に休薬していましたが、休薬したことで血栓が生じ生命にかかわる重篤な状態になることが報告されていることより、現在は抜歯などの外科処置を行うときも内服を継続したまま行うことが推奨されています。

 

②糖尿病の方

糖尿病は、医師の指導や内服、注射などの治療によってコントロールが良好である場合の多くは、歯科治療に大きな問題はありません。しかしながら、しばしば歯肉の腫れなど、歯性感染症が重篤になりやすいとされています。

 

③がんの治療中の方

「がん」といっても様々な部位、種類があり、治療法も多様ですが、特に化学療法(抗がん剤)中、放射線治療中の方の口腔衛生管理、周術期口腔機能管理の重要性が指摘されています。また、受けている治療法、薬の種類によっては口腔内に症状が出たり、歯科治療を行う時期や内容についても検討が必要な場合があります。

 

④骨粗鬆症の治療中、がんの骨転移のための投薬治療中の方

ビスホスホネート製剤(BP製剤)やその他の骨代謝薬を内服、注射、点滴で骨粗鬆症やがんの骨転移の治療を受けている方の歯科に関連した顎骨骨髄炎や顎骨壊死の症例が増えてきています。使用している薬剤の種類によって、歯科治療の種類や時期を検討する必要があります。

 

⑤人工透析を受けている方

透析中の方は一般的に透析後出血しやすい状態となるため処置日を透析翌日にするなどの対応が必要です。また、歯科で処方する薬剤の量や種類も検討する必要があります。

 

有病者歯科治療の経験が豊富です。基礎疾患をお持ちの方で歯科治療に対して不安がある方はぜひ一度ご相談ください。

 

*当院受診の際は以下にご協力ください。

 ・歯科から、内服薬の休薬や中止を指示することはありません。必ず医師の指示通りに内服してお越しください。

・内服薬の確認が必須です。お薬手帳、あるいは内服しているお薬がわかるもの忘れずにお持ちください。

 ・かかりつけ医師に対診してから治療を行うことがあります。

 

なお、当院でも高次医療機関での処置が望ましいと判断した場合は、ご紹介いたします。

連携病院:

東京慈恵会医科大学附属病院歯科

東京慈恵会医科大学附属第三病院歯科

関東労災病院歯科口腔外科

他、おかかりの病院に歯科外来がある場合はご紹介いたします。